さみfulldays♪

星のカービィきまぐれ創作、他

郷愁(星のカービィ)


「スザンナ」
彼女は本名でスージーを呼んだ。
「兄さんのこと、頼みましたよ」

危機が去り、結婚式も終わり、彼女は再びここを出ていく。ようやくこの邪魔なモモメタともおさらばだ。
メタナイトはアタシだけのものになる。

しかしスージーの胸には一つの寂寥感が流れていた。
なぜ彼女はこんなに晴れやかな笑顔をしているのだろう?
血の繋がった、実の家族と分かれるというのに?
それは彼女の口から聞いた。
メタナイトは「そうだ」と言ったきり、彼女について話すことはなかった。

「アンタ、ほんとに嬉しそうね」
父を失ったスージーは当てつけるように、意地悪く言った。
彼女は動じなかった。
「私は新しい家族をみつけたの。そして私と兄さんが家族でいる期間は終わった。」
「あなたが兄さんの、新しい家族よ」
彼女はスージーの両手を柔らかく、優しく握った。振り払いたかった。

「どうか二人共、幸せになって」
彼女は柔和な笑顔で言った。

スージーはこの女を今すぐ殴りとばしてやりたいくらいの怒りに駆られていた。
こんなヤツ、何処にでも行ってしまえばいい。二度とここの門は跨がせない。

彼女もそれに応えていた。
清々する。これでこの二人ともサヨナラだ。二度とここの門を跨ぐこともない。

上部だけの優しい言葉の飛び交う、激しい憎しみの篭った別離。彼女が来てから、三人はずっとそうだったのだが。二人の絆に、余所者が楔のように入り込んでいた形態。故に絶縁としては極めて理想的とも言える別離だった。

「あの星にはもう、行きたくないわ」
彼女は憂鬱な顔で言った。
居場所のなかった星。血縁上のつながりがあるだけの連中と不毛な日々を過ごしただけの星。
彼女には呪いのような場所だった。

会いたくもない。あの血縁上のアレと、スージーには。顔も見たくない。
まあ、いいだろう。上も私の身の上は知っているし、メタナイトと直接関われという任務でもないのだ。
メタナイトとのパイプ役としては全く役立たないことも込みで寄越すんだろう。

「さっさと終わらせて、さっさと帰りましょう!いまの私たちならすぐに終わる案件よ」
「メア、君の故郷だろう?」
「私の故郷はメックアイよ」
「初めから、ね」
ただの討伐任務。度々危機に見舞われるポップスター側への加勢。無論実質ハルバード王国の下部組織のメタナイト軍団に恩を売ると言う意図も多少はあるだろう。
しかし今の彼女にはメタナイト軍団が威勢のいいだけの役立たずであろうが彼が生きようが死のうが、知ったことではない。
単なる、早く終わって欲しいだけの憂鬱な任務だった。

結果的に、彼女はメタナイトと、よそよそしく共闘する羽目になった。
「「兄上」。ほんとにわたしたちは、腐れ縁ですね」と彼女は自嘲した。
「事が済んだらなるべく早く、この星から出ていってくれ」と彼は言った。
「勿論。」
「あなたがたがここまで約立たずでなければ、ハルバード本国も加勢を送ったりしませんでした。私はここの家で育った過去が恥ずかしいです。できることなら、消し去りたい。」
唯一繋がった「血縁」をも否定するかのように、彼女は悪態をついた。
「ああ。私もだ。お前と同じ血が流れているのが恥ずかしいよ。」
「なら死んでおしまいなさい。」
彼女は剣をふるい、彼女の身の丈の10倍はあろうかという巨大な鉄球を弾き飛ばした。
後ろにいる「血縁上の兄」を殴ってやったかのようで、少し爽快な気分になった。
そして、この人物とは生涯分かり合うことは無いという確信が確固たるものとして胸を占めた。
この人は「単なる血縁者」なだけ。
家族ではない。家族ではなかった。初めから。

「逢瀬」(メタカビ)

 

彼は変わったカービィだった。
他のカービィのように、いきなり食物や獲物を口を大きく開けて吸い込んだりしない。
棒と草の根を編んで作った釣り竿で糸を垂らし、魚を待つ。
静かに、ただひたすらに。

その遠く後ろの鬱蒼とした木々の中では、あたかも「ピンク色のカービィ」のような色合いの「メタナイト」が、枝に捕まり、そこから勢いをつけて飛び、背に生えたこれまたピンク色の羽を使って一回転し、枝の上を軽やかに走り…を繰り返している。

やがてそんなパルクールを堪能し満足しきったメタナイトの姿をした娘は、
真っ青な体をした、釣り糸を垂らすカービィのそばに座った。
青いカービィは何も言わない。そして動かない。不動の山の如く。
やがて微動だにしない彼に退屈して、彼女はカービィの肩に頭をすり寄せた。
反応がないのにムキになったのか、メタナイトはごつん、と軽く肩に何度も仮面のついた顔をぶつける。
だが彼は意にも介さない。
でも、そんな彼の頑なさが、彼女は好きだった。

彼女はさらに仮面を取り、ぐりぐりと彼の頬に頬をすり寄せた。
彼はうるさがる素振りを見せるわけでもなく、彼女の圧迫に受動的に耐えている。
痺れを切らした彼女はぎゅ、と彼の胴に手を回した。
わっ、と薄いピンク色の羽根で覆い隠すことはしない。
魚が逃げてしまうからだ。

彼は手慣れていた。
それなりの時間粘った末、二人がちょうど食べる分だけの魚を釣った。
ワオ、わー、すごいのです、カービィ!などと言いながら娘は彼の竿が捉えた魚をこれまた彼の手製の網で掬った。
ふたりが食べるのにちょうどいい量、とはいえ、カービィは娘の6倍くらいは食べていただろうか。
それでもカービィ族としては異様なくらいの「少食」だ。
焼いた魚を食べ、暗い夜の中焚き火の側で少しの間寄り添い、いつも彼がしているように、寝心地の良さそうな草のあたりで、眠る。
明日には、帰るつもりだ。
それとも。
もう1日ぐらい、ここにいようか。
自分が2、3日いなくても、軍団は何事もなく動いていく。
「ずっと」、いなければ?
彼らはおそらく、自分を探すだろう。
今のところ、メタナイトの「血統」を持つのは、自分だけなのだ。
彼らはよく尽くしてくれる。
やりたいことをやる時に父以外はほぼ文句も言わないし、
自分の時にわがままな振る舞いを受け入れ、よく理解してくれる。
それは、自分がまず「メタナイト」で、
メタナイトの娘」だからだと彼女は感じていた。
軍団としての体を為す彼らの中核としてまず、「騎士の誇り」が必要であり、
それを強固にする象徴として、
代々引き継がれてきた「メタナイト」そして、
「宝剣ギャラクシア」が必要なのだ。
それがない自分を彼らは探しに来るだろうか?
どうだろうかな。彼女は直感的にそう思った。
自分は性質も、厳格な父とは似ても似つかない。おっちょこちょいでよく失敗をするし、迷惑をかけることもしょっちゅうだ。
「メタリア様は、いつも明るく、前向きなところがよいのです」とメイスやアックスはよく言ってくれるけども。
至らない自分が、部下を我慢させていることも多かろうとも思う。
自分は軍団のものを鼓舞し、常に笑顔で、次代を引き継ぐものとして振る舞う、それが軍団での彼女の存在条件だと感じていた。辛い素振りや悲しい顔など、してはいけない。彼のそばではそれをしなくてよかった。2、3日家を空けるといえば、父が異を唱えなければ、いつでも出てくることが出来た。
だが、殆どは父の許しが降りない。
故に彼に会うための名目で、果たし状を書き、決闘を行い…
しかしそれも彼に会う楽しみの一つだった。その後は、仲のいいものだ。二人で思うままに時に離れたり、くっついたりして、過ごす。
今はそんな、「気の休まる時」だった。

隣に眠る、青いカービィを見た。彼はピンクのカービィとは似ても似つかない、低い寝息をたてて、ぐっすり眠っていた。
彼女の視線を感じたのか、彼はぱちり、と黄色い目を開けた。
「ごめんね、起こしちゃった?」
そういう彼女に、カービィは首を振った。
二人の、同じ金色に輝く目がかち合う。
二人はしばらく、同じ金色に輝く光に吸い寄せられるように、互いの瞳を覗き込んでいた。
しかし、いつしか二人の口から意味の無い、ぷっ、とした笑いが漏れる。
空気が弛み、青いカービィはふたたび体を捻り、眠りにつこうとする。
娘は黄色い手袋を外し、そんなカービィと同じ丸いピンク色の手を、そっと彼のそれに重ねた。

 

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「記憶から来た男」(ギャラクタ)

 

歪な機械の聳える、人工的で洗練された広間での激しい戦いに敗れ「戦利品」として持ち去られた騎士は、光の鎖に繋がれ、持ち主の帰りを待っていた。
積極的に待っていた、かどうかはともかくとして。

青水晶の壁の、美しい洞窟に、輝く白い羽根が映えた。洞窟の主が戻ってきたのだ。
彼の視線の先には、桃色の肌の、紫と赤の鎧を纏った「それ」がいる。
それは黄色い目で、彼を見つめている。
持ち帰った食物を彼女に食べるよう無言で促す。彼女は素直に、食料に手を付けた。

持ち帰って重要なことに気がついたのは、ある時、ぐぅ~…と彼女の腹が鳴る音がした時だ。
彼女は気まずそうに顔を赤らめた。
ヒトであることを止めてどれくらい時間が経ったかも分からないくらいになりすっかり忘れていたが、「これ」は食物を摂取しないと生きていけないのだ。
そしてここに持ち帰ってから、数日は経っている。そして彼女は鎖に繋がれている。
「ここで待っていろ」とも告げずに、無言で彼は青く輝く洞窟を出、白い翼を広げて何処かへと飛んだ。
微かな記憶から、「ヒト」が食べられそうなものを選び、持ち帰った。間違ってはいなかったようだ。
食料を持つ彼を見て、彼女は意外そうな表情をした。

「ありがとう」
食べ終わると、静かに彼女は言った。
「きみはぼくを、二度も助けてくれた」
助けたのだろうか。殺してはいない。
あの時、傷ついた彼女を力で癒し、仮面を割った。
その後は情動に突き動かされるままに弄んだ。それはここに「これ」を持ち帰ってからも続いている。
白い騎士は意外に思った。自分を弄び捕らえているものを憎まないとは。
まして「礼」を言われるなど。
動くモノが自分をいくら憎もうと知ったことではないが。
最後に言われたのはいつの事だったか。思い出すこともできない。

その後は特に会話をするでもなく……気が向いたら、彼女を抱く。
幾度目か、始めの強制的な時とは違い、彼女は緩やかに、彼の口付けを受け入れた。

彼女は感じていた。仮面の下に押し隠された、彼の繊細な感情を。それは言葉がなくとも伝わっていた。彼女を愛するときの、その触れ方から。
最初の口付けから時間の概念が溶けてわからなくなってしまうくらい、彼は彼女の蝙蝠の羽根の隙間や脚、羽根の先、からだの隅々に、ただ触れつづける。ときに指先で、時に唇を交えて。
そして繋がる。「戦利品」である彼女は、黙ってそれを受け入れる。自身の生殺与奪を彼が握っているというよりは、負けた自分は気まぐれでいつ殺されても、仕方の無いことなのだと彼女は割り切っていた。だけど、それだけでもなかった。
肌で触れ合うことで、何もわからない彼のことを少し知ってからは、どこか安らいで、それを受け入れている自分がいると感じていた。
彼に体の奥へと侵入される感覚。柔らかな肉を有無を言わさず押し開かれ、中をゆるくかき混ぜられる。時に激しく揺さぶられ、触れられた全身の跡が、脳髄が甘く、痺れてゆく。身体を駆け巡る嵐を彼女の心はただ、静かに受け入れる。
白い騎士は執拗に、侵し、愛する。そして甘やかに彼を包む苗床を、幾度も、はちきれんばかりの雄の本能で存分に満たす。
全てが終わり、小さな騎士は暗闇の中、彼に頭をそっと撫でられるのを感じた。
波の余韻に漂う彼女は伏せた瞳に泪を浮かべ、ただ彼のするがままに身を任せていた。


「そなたはそっくりだ。私の妹に」
事が終わり、背を向け少しだけ高さのある岩に座っていた白い騎士が、おもむろに口を開いた。
その厳(いかめ)しさ、重厚な純白の鎧に相応しい、重い声だった。
「妹が、いたのですか?」
彼女は自然に聞き返した。
始めて彼の声を聞いた。その驚きは遅れてやってくる。
「ああ。昔、『ヒト』であった頃にな」
彼女は首をかしげ、彼に尋ねた。
「きみは「ヒト」ではないのですか?」
「ヒトであることは、遠い昔に辞めた」
淡々とした口調。
彼女は彼にどう返したらいいのか、わからなかった。
静かな沈黙がしばし、流れた。

深い沈黙の中、騎士はまた、重く口を開いた。
「私は昔、ポップスターという星にいた。そなたも私と同じ、丸い体をしているな。あの面妖なピンク玉も」
ピンク玉というのは、カービィのことだろう。
「君は、ポップスターで生まれたのですか?」
「いや」白い騎士はかぶりを振った。
「正確には、『移住』したのだ。妹と、二人だけでな。私たちはある使命を持っていた。【種の存続】という、使命を」
「惑星メックアイ。その星で私は生まれた」
メックアイ。
自らの軍団が軍事的な同盟を結んでいる国家、「ハルバード王国」がある星。その王国には、自分たちと同じような丸い体の「騎士」が多数存在している。
ただ、名前通りの同盟かどうかは微妙だ。正確には、軍団によるポップスターの「自治権」は認められているものの、こちらが彼らの「子飼いである」という方が正しい。
「きみはもしかして、メックアイの騎士だったのですか?」
「今となっては意味もないが、私はその星にある国の、王族だった」
かの王国のある星は、一度存亡の危機に遭った。故に、彼とその妹は選ばれた。別の星で、王国を再興するために。その使命を知らされていたのは、自分だけだった。
妹にはもう元の星に帰る手段はないと、告げた。

彼女に疑問が浮かぶ。まさか、彼はその妹にも、自分にしたようなことをしていたのだろうか?

聞かれることはなかったが、彼にとっては図星だった。
どうして唐突にこんな話をしたのかはわからない。さっき、無意識に彼女の頭を撫でた時、それと同じ情動だったのかもしれない。本当の妹にもそうしていたように。
妹を抱いたときもそうだった。
互いに想う異性(ひと)がいて、自分たちがそのような関係になることなど、想像していなかった。
二人で決めて、使命に向かい合ったとき、互いにどうしたらいいかも、わからなかった。最初は、痛みで妹を泣かせた。
何度目かはついに痛みの先にあるものを知り、「女」になってしまった彼女を、決して歓びではない理由で泣かせた。
彼女を抱き終わる度に、あやす様に、そして、彼女を鎮め、安心させようと努めながら彼女の頭を撫でた。
歳若くして使命の「犠牲」になった彼女に、心の中で詫びながら。
そして、時が経つにつれ、共に住むものはふたりだけから、三人、四人、十八人と増えてゆき、ゆるやかに二人は、兄と妹以外の関係性を見出した。
血の繋がりを超えて、一人のヒト同士として互いを見、支え合うようになった。
「ヒト」としての最後の記憶は、力を得るため、機械の大彗星に向かう自分を涙しながら追い、止める彼女の顔だった。それしか方法がなかった。
彼は彼女を振り切って飛んだ。それから、実の妹には二度と遭わなかった。
「兄は空に国を興し、妹は地上に、花の種を蒔いた……」
桃色の騎士がぽつりという、ポップスターに伝わる「創世記」の言い伝え。それは青水晶の壁に跳ね返って、澄んだ響きを返した。
「そうだ」
白い騎士が返す。今となってはどうしようもない、最後の「思い出」だ。

同じ丸い体、と彼は言った。創世記の言い伝え。ということは、彼は、ポップスターに生きる、自分たちの……
「ご先祖様、なんですね」
白い騎士は無言だった。

その妹に、自分が似ているのなら。
彼女は思った。
彼は、自分を通じて「戻れない過去」を愛しんでいたのかもしれない。

 

彼は槍を振るい、鎖を絶った。
すぐに逃げ出すだろうと思った彼女は動かなかった。
「もう少し、ぼくはここにいます。」
「もっと、君のことが知りたいから」
「…勝手にするがいい」
背を向けたまま、顔も動かさず彼は言った。
引き止める気も、追い出す気もなかった。
あえて言うのなら、彼女がいる今、自分の心境は、あたかもかつてそうであった、『ヒト』であるかのようだった。もう少しの間だけ、『ヒト』でいたかったのかもしれない。

妹と星に馴染んで暫くのち、「闇」は再びやってきた。
同じものに襲われた故郷の星がどうなったのか、今は知るすべもない。
そして彼は、ある決意を固めた。
今は遠く離れた、故郷に伝わる、「黄金の化身」の伝説。
妹の制止を振り切った、彼は黄金の大彗星へとたどり着き、願った。
「星を覆う闇を打ち払い、愛するものたちを守る力が欲しい、」と…
代償は永遠の時間の付与だった。
やがて妹は星からいなくなった。そして二人で築き上げた国も、闇との戦いにくれるうち、いつしかなくなっていた。
気がついたら、気づいた時には生きるものを殺め、破壊することしかしなくなっていた。そしていつしか、自分は全てを、敵に回していた…


暫く時が経ち、ある時彼女は言った。
「やっぱり、ぼくはポップスターに帰らなくてはいけません。みんなが心配してる」
白い騎士は無言だった。だけどわかっていた。こんな茶番はもう終わりだ。
彼女は次に、彼に手を差し出した。

「君も、一緒にきませんか」
それを聞いた白い騎士はしばらく黙った後、ぽつりと言った。

「そなたもいつかいなくなる」

「そうかもしれません、でも」
彼女は笑った。
「今でも君は、ヒトの心を忘れていません。昔、ポップスターで生きていたのなら、今度もきっとうまくいきます。ぼくも、ほんとうの君のことをみんなに知ってもらえるように、頑張りますから」

無垢な笑顔。本当に妹にそっくりだ。
仮面の奥で、白い騎士は寂しそうに笑った。
「私は、平和の中では生きられないのだよ」
はっきりとした声だった。
「そんなこと…」
言おうとした彼女は、画面の奥の彼の瞳に気がついた。全てを悟り、諦めた、諦観した瞳。
彼女は俯き、押し黙った。
「さて、終わりだ。私は眠りにつかせてもらう」
飲み込めない様子の騎士を尻目に、彼は紫色の槍を掲げた。その先に、星の形をした青い穴が白い騎士の意図に答えるように中空に開いた。
「さらばだ、幼い騎士よ」
ふわりと白い騎士の軀が糸かなにかで引き上げられるように中空に浮かぶ。そして桃色の水晶に包まれ、彼の時間が止まった。
そして空間に穴が空き、何処かへと吸い込まれて言った。
彼女はそれを、無言で見送っていた。

程なくして、帰還した彼女は産気付き、子供を産んだ。彼女は白い蝙蝠の翼と赤い体を持つその子に、ギャラクタと名をつけた。

 

 

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ステラマキナ・ショブスーリ(機械仕掛けの騎士・頂いた絵)

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お世話になっているFootmarkさんに

拙文「機械仕掛けの騎士」(更新停止中)のガチな挿絵を描いていただきました!

コウモリをモチーフにした、

通信網を掌握してしまう電子戦特化型ステラマキナ だそうで!

捕捉されないように暗色で、かつメタナイトの仮面をモチーフに、とてもサイバーな質感がかっこいいです。

個人的に、いいと思ったのは「スフィアローパー」の口みたいなグラス部分!

かわいいwそしてサイコーにCOOLです!

もともとCGとメカ絵の上手い方なんだけど、まさかモモちゃん機(ペシェ)も合わせて個人的に描いてもらえるとは

…ともう膝の震えが止まんなかったですねw

電波が降りて来ずショブスーリさんのお話はまだ書けてないのですが。。。いつか書けたらこのイラストも載せたいです!

電波よ降りてこい〜

ありがとうございましたんんんんんん!!!最高ですこの絵!!!!!!

 

 

にゃ〜ん

(ありがとぉ〜ってにゃんこまんまるスー(A)も言ってる)

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※青桃メタ(内縁ネタ

 めっちゃひとえらぶ

(というか読む側で得する人がいるきがしない)

―――――――――――――――

 


「メタリア」
ある日、兄さんがぼくを呼んだ。
「急ぐ必要はない。時間が空いたら、私の所へ来てくれ」
今からの新兵の訓練が終わったら、時間が開くな。
ぼくはその旨と、後で兄さんの執務室に行くことを伝えた。

言われた通りに行くと、兄上は来たか、といい執務用の大振りなデスクから立ちあがった。
デスクからだいぶ離れた部屋の真ん中あたりにホルターに着せた白いドレスが飾ってあった。いわゆる、ウエディングドレスだ。
これをぼくに見せたかったのかな?
でも、なぜ?

兄上は横を向き、ドレスを着せてあるホルターから少し離れた位置に立っていた。そしてぼくの方を向いて、言った。
「今から、私の為にそれを着てくれないか」

ぼくは自分でわかるくらい、ハトがマメでっぽうを喰らった顔になった。それを見て、兄上は少し自信なさげに言った。

「無理にとは言わない」

なぜ兄上が、花嫁さんに着せるドレスをぼくに着せたがるのかはわからないけど、兄上がぼくがこのドレスを着ているのを見たいと言うなら、特に断る理由もなかった。
実を言うと、一度着てみたかったのも、正直な気持ちだった。
スージーのウエディングドレス姿は、ほんとうにキレイだったから。
作った自分がいうのもなんだけど、スージーのなだらかな躰の線を引き立てる、ほんとうにキレイで、美しい花嫁さんだった。
ぼくもあんな風になれるのかなあ?
ぼくは当時、そう思ったものだ。

それから、いろいろとおかしくなった。
まずスージーが、突然兄さんとの婚約を解消(結果的には話し合いの末だけど、それがなければ実質「破棄」)した。
残された兄さんはスージーの幸せをねがい、優しく見送ったけど、情緒不安定になった。
兄さんはその後、修行の旅に出て、その間にポップスターに異変が起きてぷにぷにちゃんも行方不明になり、結局、ぼくも兄さんと星一周マラソンをすることになった。
異変は解決して、兄さんは修行の旅を再開したけど、ぼくも兄さんが星を回り終わるまでなんとなく兄さんの後を追って、一緒に行くことにした。
心配というよりは、事件解決の旅も済んで、このまま一度別れるのも寂しいので、単に家に着くまではこのまま一緒にいたかっただけだけなのかもしれなかった。
その間に、ぼくたちはある夜成り行きで、互いに傷ついた状態を癒そうと、トマトをくちうつしで食べたことがきっかけで、そのまま……(兄さんは、「ヒーリング」を使いたがらなかった。「修行」のためだろうか)いわゆる、「できちゃった」状態になってしまい、その後も旅の間何度も「成り行き」を繰り返した結果、ぼくは本当に兄さんの子供を孕んでしまった。
どのみち、兄さんの跡取りは必要なので、それは形の上では解決した……のだけど。
それからのぼくは、スージーの代わりになった。兄さんの人に見せられない、脆い部分を受け止め、時に癒す、ぼくはそういう役目になった。
ぼくは兄さんの事が好きだけど、スージーと兄さんの間柄みたいに、「熱愛」したいわけでもないし、「成り行き」なのだから、このまるっこい体が兄さんの役に立つなら、それでもいいのかな、と考えるようにしていた。
惑星メックアイにいた時に見た、騎士相手の「娼婦」みたいだなあ……って、自嘲した時もあったけど。
そして、ぼくは一つの恋を終わらせた。
兄さんとそっくりで、でも兄さんとはちがう、かわいいあのこ。
今も会う友だちだけど、もう、こっそり家を抜け出して、一緒にお花畑や森で遊ぶことは、しなくなっている。

一人目の息子、アンリを産んでからは、そんなことなど気にしている場合ではなくなった。「お母さん」になったのだから。母親の役目と、幹部の役目をこなしながら、二人目の娘アンナも生まれ、それからはその繰り返しだ。それに不満はない、どころか今はとても幸せだ。
ふたりの子供たちはかわいいし、みんなとも上手くやっている。新兵の教育という役目を与えられてからは、苦闘しながらもぼくはとても満たされている。
でも、兄さんとはこれまで通り兄と妹だ。兄さんの子供を生んだとはいえ、ぼくは「その役割だった」のであって、決して「お嫁さん」ではない。それは兄さんもそう考えているだろう。兄さんが真剣に恋をしたのは、スージーだけだった。

でも、ぼくにはドレスを着るのに、どこか納得していた。昨晩のことだった。
いつものように兄さんの寝室にいた時だ。ふと兄さんが言った。
「お前も、この年なら、私があんな事にならなければ」
「今頃は何処かに嫁いでいたのかもしれないな」
潤んだ金色の眼の光。哀しそうな顔だった。
ぼくは笑った。そんなことはどうでもいいから。
「そんなこと、今まで考えたこともなかったです。子供たちもいて、みんなもいて、ぼくは、とても幸せだから」
「いや」兄さんは首を振った。
「私はお前に甘えて、お前を拘束してしまった。お前の人生を、めちゃくちゃにしてしまった」
兄さんはぼくの肩口に顔を埋めた。
そして、肩が熱く濡れた。泣いているのだ。あの、兄さんが。
「許してくれ」
兄さんが押し殺した声で呟いた。体も、羽も、震えている。
ぼくは兄さんが急に愛おしくなって、兄さんの震えを止めるように、優しく抱きしめた。今までにない想いだった。少し、手に力が篭っていたかもしれない。
めちゃくちゃにされたなんて、ぼくはかけらも思っていない。始めは、成り行きだったかもしれない。アンリが生まれたこともその結果だったのかもしれない。でもぼくは、望んでその役目を選んだ。恋をあきらめたことも。兄さんに「そうさせられた」んじゃなくて、ぼくが決めたことなんだ。
でも兄さんは、いままでずっと
独りで苦しんでいたんだ……ぼくの人生を滅茶苦茶にしたのかもしれないって。
兄さんはやっぱり、優しい。
そんな優しさが、脆くて、危うく見えた。そしてそんな弱さを見せてくれるところがとても切なくて……愛しい。

「兄上、むかしも今も」
「ぼくは兄上と共にいます」
ぼくは兄さんの背中を何度も撫でた。
「だから、迷わないでください」
「ぼくは迷ったことなんて、ないんですから」
上手く、伝わったかはわからないけど。
それからはぼくの体に顔をうずめる、兄さんの背中をただ撫で続けた。そしてそうしている間に、ぼくはいつしか、眠ってしまった。

そんなことを思い返しながら白いリボンを頭に付け、ドレスを着て、着替えをしていた書斎の入口から出た。

兄さんはぼくを見ている。そして言った。
「ああ、メタリア」

「なんて美しいんだ」
普段は聞くことのない、熱っぽい声だった。気のせいか、仮面から零れる瞳がいつもより、光輝いているように見えた。
美しい、なんて始めて言われた。
「かわいい」は昔からよく言われたけれど、「美しい」とはスージーの為にある言葉だと思っていた。だからちょっと、信じられなかった。拍子抜けしたというか。

「もっとよく、見せて欲しい」
兄さんがぼくに近づいてきて、透けるレースの手袋をした両手を取った。そして顔をものすごく近づけてくる。
「やぁだ兄上、そんなに近づかれたら、は、恥ずかしいのです!」
ぼくはダイレクトに精悍な仮面の顔が近づくのに顔が真っ赤になってしまい、すこし首をすくめて距離をとった。

「そうだ」
「二人にも、お前のその姿を見てもらいたい」
二人、僕が言ったその声に、
兄上が執務室の入口に顔を向けると、
息子と娘が部屋にいることに気がついた。

「お母さま!」
娘のアンナが無邪気に駆け寄ってくる。ぼくはそんな娘を力いっぱい抱きしめた。

息子のアンリは固まったまま動かない。照れ屋さんなのだ。
「いらっしゃい、アンリ」
アンリに手を差し出し、アンナと同じように来るように促す。彼はきっかけができたことで照れを払拭できたのか、淡々と歩いて近づいてきたので、ぼくは彼も捕まえるようにして抱き込んだ。
「お母さま、きれい、すごくきれい、花嫁さんみたい!」
「ありがとう」
ぼくは嬉しくなって、アンナの額にキスをした。ついでにアンリの仮面から覗いた頬にも。彼はいやそうではなかったけれど、怯んで、首を少しすくめた。
「兄上」
ぼくは二人を抱きしめながら、兄さんの方を見た。
「いや、私は…」
兄さんは頬に手をやりながらすこし横を向いたが、やがて唐突に言った。
「家族の写真を撮ろう。四人で」

「そういえば、結婚式の時以来、写真は撮ってなかったですね」
あの時のドタバタ。それ以来なんとなく、ぼくと兄さんの写真は撮ってなかった。でも、それって、ウエディングドレス姿のぼくも映るってこと?
それじゃあまるで、

僕がそのことを兄さんに言おうとしたその時、いつの間にかメタナイツ(と水平帽子のワドルディ)までが部屋にいることに気がついた。

「彼らにも、見ておいて貰おうと思ってな」
「あのー……」
ついに、ぼくは呆気にとられてしまった。

兄上が笑う。
微笑ましそうに笑うナイトも、やや興奮気味でまくし立てるナイトも、口ぐちにぼくのドレス姿を褒めてくれたので、ぼくは照れながらも彼らに礼を言った。

「はい撮るダスよー、一たす一はー?」
にー!と笑いそうになったところで、
カメラマン役で、彼と仲のいいジャベリンナイトが冷静につっこむ。
「メイスナイト、真面目にやれ」
しかもお前カメラマンじゃないだろう。
まあいいじゃないダスか、盛り上げ役ダス、盛り上げ役〜!
メイスのひょうきんさは時に、雰囲気が沈んだり緊張したときの清涼剤になる。
時に調子に乗ってふざけすぎるのも愛嬌だろう。ぼくも、人のことは言えないし。今は、ガチガチになりそうな雰囲気が和らいでいるし、むしろジャベリンとのコンビでぼくもアンナも(アンリは我慢している)笑わされている。

家族の写真、か。それなら。
昔から苦楽を共にしている彼らもほぼ同じようなものじゃない?
と、ぼくは考えた。そしてカメラマン交代でメタナイツまで入れた写真撮影までどさくさに紛れて始めてしまった。兄さんは呆れていたが、一緒に写真に収まってくれた。

今でも、ぼくは兄さんの「お嫁さん」にはなったのかはわからないけれど、
息子と娘も含めて、四人では今までとは違う「家族」になったのかな、
そう思っている。
兄さんとぼくの部屋には、それぞれちゃんと四人で撮った写真が飾ってある。
兄さんは生真面目な写真で、ぼくはすこしおどけた写真を。
写真は違っても、きっとぼくたちが「家族」なのは、同じだろう。

やっぱり理解できない

 

※私は「他人の感情が読みにくい」「自閉スペクトラム」と診断されています。その「思考型の一例」としてお読みください。全ての自閉スペクトラム症者が同様の思考をするわけではないことにご留意ください。

 

少し前、私は他人に大変辛辣な言葉を吐いた。

「絵のプロになりたい(イラストレーターをイメージしたと思われる)」という(学生さんたちに大してである。

 

申し訳ないのだがお二人ともイラストを拝見すると

どう見ても「他人に購買意欲などを想起させる」という「視覚的に多数の心に訴求する」スキルが必須の「絵のプロ」には程遠い実力であった。「自分が見えていない」のだ。

いわゆるこんな状態。

 

 

その際、

「夢を否定する人は嫌い」だの「人を非難するなんて許せない」だの

めちゃくちゃ叩かれましたが、今でも

私が非難される理由がわからない。

ネガティブな感想や感情を感じて、

「言うか」「言わないか」、それだけの違いである。

「ポジティブな」言葉なら彼らは諸手を挙げて歓迎するのだ。

「言った」場合、大抵は非難を受ける。

自閉スペクトラム症持ちの私はそれを「当たり前」と理解することができない。

 

実際彼らに誰一人「あなたはプロになれる実力です」と励ましたやつなんて見る限りいないのだ。「他人の夢に干渉するな」その一点張りである。

 別に親切心ではない。第三者の視線をありのまま伝えただけである。

(自己愛にまみれ盲目状態の)お二人の自己イメージを壊す言葉には違いないので、

「二度と会いたくない」だの猛烈な拒否反応を受けた。それについては問題はない。

どう感じるかは受け取り手の自由である。

 

その前に私は「今の実力ではプロは難しいのではないか」と率直に意見を言った。

その時も「プロになります!なってみせます!」だの全く聞く耳なし。

 

さらに後日彼らが年下の(プロも舌を巻くレベルの)絵師さんの絵をRTしながら「プロ絵師になる」となおもほざいているのを見て

正直【生きてて恥ずかしいレベル】だと思ったので、それもそのまま「名指しで」言ってしまった。

彼らがどう感じるかは正直「考えてなかった」。

傷つけるとか以前に「正直な感慨」をダイレクトに伝えたい、そのことしか考えてなかった。余波など全くお構い無し(これはADHDの衝動性も関与していると思う)。

 

私が多くの人から非難を受けたのは

「言葉選び」の問題なのだろうか。

「名指し」したことだろうか。

(当該の言葉(下線部)は彼らのフォロワーが拡散したゆえに多くの人に読まれた。私がその言葉を積極的に広げたわけではなく、名指しにより彼らに「恥をかかせた」のだとしたら、彼らに恥をかかせたのは拡散した「彼らのフォロワー」である。)

それとも「思ってても言ってはいけない」ことという、「タブー」に触れたからだろうか。おそらく後者だろう。

「普通の人」にとっては「言わない優しさ」が美徳なのだ。

「可愛らしい夢」と黙って見守るのが美徳なのだ。

心の中や、影で笑い者にしていたとしても、だ。

私にはその方がよほど、「個人的な正義」に反する。

(余談だが後日私が彼らの絵について抱いた感想が正しかったことが証明されてしまった。)

 

先の暴言については、個人的な「良心(エゴ)」を貫いた末の話である。

結局彼らは何も変わらなかった(どころか恨みを募らせるだけだった)ので、ただの徒労ではあったが。

 

結論を言うと、

私はネガティブなことについて「言わない美徳」が理解できないのである。

ゆえにしばしば私と、「良心的な」「一般の人々」と間に軋轢が起こるのだ。

 

一般向け自閉スペクトラム解説書では「自閉スペクトラムは他人の感情よりも「本当」のことを言うことを優先する」と言う要旨の解説がされており、私の行動も他人の感情を想像しづらい「自閉スペクトラムの症状の一種」として出てしまったと言うことなのだろう。

それを暴言行動の免罪符にしたいわけではなく、

 

「自閉スペクトラムも関与した、「一般人」とは異なる価値観を持っているため、私と一般人の間に「争いの種は尽きまじ」と言うことである。

 

この記事を書いた趣旨

「一般人の価値観の否定」や「自閉スペクトラム的社会的問題行動の理解啓発」ではなく、

『私はこんななので、敵を作っても何かを失ってもこんな生き方しかできない、しょうがない』と言う諦観と、決意表明みたいなものです。不利益面を勘案して、変われるならとっくに変わっているでしょう。

そしてそれが「自閉スペクトラムとしての性」なのだと思う。

 

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光の溢れる泉

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その時母もおらず寂しかった彼女はおもむろに鉄の睡蓮に乗ってみた。すると光が溢れ出し、彼女を祝福した。

 



祝福を。他者から軽蔑され、蔑まれるためだけに生きている、惨めに這い蹲る生き方しかできない愚かな私に祝福を。

 

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ギャラクシアのおとめ(ももメタ進化形態)さんです。久しぶりに描きました。

毎年フォロワーからも誕生日総スルーだったんですが今年は数名におめでとうを言ってもらいました。ありがとうございました。

 

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