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星のカービィ邪道創作(ももメタ専

銀河最強決定戦、夫婦喧嘩も兼ねる/ギャラメタ

むかしのひとは言いました、
メタナイトギャラクティックナイトの夫婦喧嘩はピンクの悪魔も喰わない、と。

まあそれは嘘なんだけど、父上と母上がまた「お互いの譲れないこと」で喧嘩になって、
いつもの通り、「決闘」で決着をつけるという流れになった。
あ、目玉焼きにソースか醤油か、ってそういう話じゃないよ?
すごく難しいこと。ぼくにはまだ、わからない。

銀河の光を封じ込めたと言われる宝剣ギャラクシアを持つ父上と、銀河最強といわれた母上が今いるハルバードの中でやりあったら、
ハルバードが無くなるどころかポップスターそのものが滅びかねないので二人はフェアにやりあえる宇宙に舞台を移す。
たいていは旧ハルトマン社の母艦の廃墟---が舞台となる。
今日はぼくも「立会人」としてついてきた。
ほんとは、父上と母上の、「銀河最強」の戦いぶりを見たかっただけ。

父上と母上は、柱のようにそびえ立つ巨大なマザーコンピューターを横に迎える格好で、
一言も漏らさず対峙している。すでに、戦いは始まっているのだ。
ぼくたちはコンピュータが真正面に見えるちょっとした出っ張りに座り、
横から二人の決闘を見守ることにした。
「ぼくたちはここで見てましょうか。父上も母上も、思い切りやりあえば、お互い納得しそうですし」
ずっと見てるだけでは息が詰まるので、話し相手に水兵帽のわどわどちゃんも連れてくるんだけど、最初はぼくにしがみついて始終震えてたわどわどちゃんも、おなじみになってくるに連れてふつうに父上と母上の戦いを観戦するようになった。

睨み合う父上と母上のそばの機械は、かつてポップスターにもたらされた大きな災厄の残骸でもある。
ぼくの身体ではいくら見上げても届かない、上から下までざっくりと切り割かれた傷。これも、母上がつけたものだ。

息を合わせたように、二人が同時に飛び出す。剣がかち合う。一閃。それを防ぐ金属音。すさまじい音速の切り結び。両者一歩も譲らない。

「ねえ、父上と母上どっちが勝つと思いますか?」
ぼくはわどわどちゃんに耳打ちする。でもわどわどちゃんは何も言わない。どっちもどっち、なんだろう。
「今までだと、23勝18敗で父上のほうが勝ってますね」
でもそれが純粋な勝敗かというと。
「でも父上、傷を癒しながら戦ってますよね?前、父上に聞いたんです。傷を治しながら戦うのはフェアなんですか?って。
そしたらね、父上ったら、『しょっちゅうまともに母上とやりあっていたら、命がいくつあっても足りない』っていうんですよ?」
極めて真顔でそれをいう父上の顔を思い出しながら言っていると笑いがこみ上げてきて、隣りに座るわどわどちゃんもくすくす笑ってる。

決着がつかないことに業を煮やした母上が、真っ白いふわふわした翼をはためかせてびゅううん!と飛ぶ。そしてはるかな上空に仁王立ちになる。来るぞ!

ヒュッ。ドカーン!
ヒュッ。ドカーン!!
ヒュッ。ドカドカドカドカドカーン!!!

キレのいい一閃と共に、無数の光の柱がそびえ立ち、父上を襲う。ぼくらがいる船も威力のあまりグラグラ揺れ始める。父上は時に華麗にかわし、時に防御し、それをやり過ごす。そして今度は父上だ。くるりと回転し、宙を舞いながら母上に切りつけると後ろに回り込み、竜巻のような回転切りをお見舞いする。マッハトルネードだ!ぼくはもう、父上と母上がなんで喧嘩していたかも忘れてしまった。多分、当人たちも忘れているだろう。

決着がついた。ふっとばされた父上が空中でくるくる回って地面に叩きつけられる。今日は母上の勝利みたいだ。
止まらない動悸を抱えながら凄まじい戦いの余韻をかみしめていると、
父上が声をかけてきた。
「メタリア、何をしている。帰るぞ」
父上と母上は何事もなかったかの様に、母上が開けたワームホールに向かって歩き始める。ホールの先には父上の部屋。ぼくたちも慌てて追いかけた。
なお、負けた父上にはこのあとちょっとしたペナルティがある。
母上の翼の、ツボを押してあげるんだって。

(つづく)

ギャラメタ夫婦+親子話 その2