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星のカービィ邪道創作(ももメタ専

メタ親子話(ももメタナイトでGO?)

<ももメタナイトでGO?>


ぼくは約一年ぶりに、自分の家に帰ってきた。
自分の力だけでポップスターを一周するように、と父上に命じられてからの時以来だ。
その時のぼくは、ソードビームが出せるようになり、おぼつかないながら父上の代名詞と言ってもいい、竜巻斬りやマッハトルネードがようやくできるようになったくらい。
その証として、父上は図鑑を開きながら各々の地方に生えている植物を持ち帰るようにと言われた。中にはかなりデインジャラスな場所にしか生えない固有種もあって、ぼくの力が本当に試されるときなのだと思った。
課題をやり遂げるまで家に帰れないのは寂しかったけど、実は緊張感や不安よりも、大手を振って外の世界を自由に見に行けるという意味だったので、うっかりガッツポーズをしそうになってしまった。
何度も武者修行でポップスターのあらゆる場所を踏破している父上には、ごまかしは通用しない。
ぼくはわくわくする気持ちの反面自分に気合を入れ、慣れ親しんだ、ほぼ軍事施設だけでできている自分の街を出た。
それから、初めての場所で、いろいろな経験をした。楽しいことのほうが多かったけど、課題をなかなかやり遂げられなかったり、ここぞとばかりに寄り道をしたりふと目についた場所が気になって向かってしまい迷子になったりで、戻ってくるまで一年もかかってしまった。
だけど、ぼくには、ちゃんとやり遂げたという自負がある。意気揚々と父上が詰めているであろうハルバードに乗り込み、父上の元へと向かおうとした。
が、最初のブリッジに、なんと父上がいた。

「一年もの間、一体何をしていたんだ」
ぼくが口を開く前に開口一番、父上はぼくに厳しい声を投げかけた。
「お前のことだから、ここぞとばかりに外で遊びまわっていたのだろう」
課題はきちんとこなしたけれど、たしかにそれも事実、なのでぼくには反論の余地が無い。
「まったく」
父上はマントを翻すと身を包み、背を向けて奥へと去ってしまった。
父上の人となりは知っているし、何も言わなくていいけど、せめてぼくの「ただいま」くらいは聞いてほしかったなあ…
すこしがっかりした気持ちで奥へと進むと、声をかけられた。
「メタリア様」
声の方を向くと、骸骨マスクのアックスナイトがいた。
「アックスナイト!ただいまなのです!」
ぼくはおなじみの顔に会えたのが嬉しくなってしまい、彼に思わず飛びついてしまった。
「お帰りなさいませ、メタリア様。よくお一人で最後まで頑張りましたね」
アックスナイトは笑顔で、ぼくの背中を何度もさすってくれた。
幾分彼の言葉で、報われた気持ちになった。でも。ほんとは、父上に・・・
そんな僕の気持ちを見透かしたのか、アックスナイトはぼくの言ってほしそうな言葉をかけてきた。
「メタリア様。メタナイト様はあなた様のお帰りを、心待ちにしておられました」
「…そうなのですか?」
とてもそんな風には見えなかったけど。
「実は、メタリア様がなかなかお戻りになられなかったので、何度か落ち着かないご様子を見せられたことがありました。なので何度か我々が様子を見に行けるよう、進言したのです。ですがメタナイト様は、頑としてそれをお許しになりませんでした。
『この試練を乗り越えられないようでは、私の跡目は継がせられない』と。今思えば、我々が過保護すぎたのかもしれません」
メタナイト様は、メタリア様のお帰りを、最後まで信じて待っておられました。何も言わずとも、メタリア様の帰りを一番お喜びになっておられるのは、メタナイト様なのですよ」
これまでも、自分の気持ちをあまり表現してくれない父上に代わり、度々メタナイツ、特に彼が、父上の本当の思惑や、気持ちを教えてくれたことがあった。ぼくだけではそこまで読み取れないので、彼らのおかげで父上を誤解したり、鬱屈した感情を抱かないで済んでいるので 、とても感謝している。
「メタリア様、寝室でお休みになられますか?」
アックスナイトが聞いてきたので、ぼくは頭を振った。それよりも、今はメイスとか、みんなに会いたい!
「それはまだいいです。ぼくはちょっと、みんなに挨拶をしてくるのです!」
少し元気が出たぼくはダッシュし、艦の外へと飛び立った。


皆に顔見せをしていたら、すっかり夜になってしまった。そこでぼくは肝心なことを思い出した。
「まだ父上に”あれ”を見せていないのです!」
今更急いでも遅いのだけど、ぼくは旅の途中で会得したメタクイックも使って出来る限りダッシュし、父上の居室へと向かった。
荒い息を整え、ノックをし、父上の部屋に入る。父上は、寛いで本を読んでいた。
「父上、証拠の品をお見せしたいのです」

「ああ、あれか。…忘れていたな」
ぼくは父上に、指定されていた植物全てを見せた。
「よろしい」
父上はたった一言。話は済んだ、とばかりに父上はぼくに背を向けた。まあ、よろしい、ということは合格なんだろう。
ぼくは一礼して下がろうとした。背を向けると、そこへ父上の声がかかった。
「メタリア」
「はい」
「私であれば、一月で踏破するのだがな」
「…ごめんなさい、父上」
ぼくは課題の達成が遅くなったことを謝った。やっぱりぼくは、まだまだだなあ…
「あまり、やきもきさせるな」
下げた頭に、意外すぎる言葉が帰ってきた。そういう父上の声はちょっと困ったようで、それでいて、少し、やさしかった。
「はい!」
ぼくは父上のその一言ですっかり疲れも吹き飛んで、元気になってしまった。

初めての一人旅は決して楽なものではなかった。本当にもうだめかな、って思った時も二、三回ほどあった。だけど諦めてしまわなければ案外どうにでもなる、っていうのもわかったし、ぼくはこの旅に出て、ほんとうに良かったと思う。
次はいつになるかわからないけど、またこういう旅に出ることがあって、なかなか帰れないようなら、何度か手紙を送ろうと思った。
ぼくのことをちゃんと心配してくれる人たちがいるっていうのを、知っているから。