小さな変化(カービィとメタナイト)
「おいしくない」
コピーした瞬間、そう言いたげに悲しげな顔をしたカービィは、瞬く間にギャラクシアの力を持って、カンパニーを滅ぼしてしまった。
呆れるほど平和な日に果たし合いをしたのが災いし、目の前で愛剣ギャラクシアを食べられてしまったメタナイトは仕方なく汎用の剣を持って、自分の名前を騙るサイボーグ類などを蹴散らしつつ、慌てて追いかけてきたのだが……
追いついた時には全ては終わった後のようだった。
ギャラクシアをコピーしたカービィ、頭にはちょこんと持ち主の顔のお面まで乗せている。
それはそれで可愛らしい…のだが。
「カービィ」
メタナイトが、諭すように言った。
「そろそろ、ギャラクシアを返してくれないか」
カービィはこくん、とうなづくとギャラクシアを吐き出し、
ギャラクシアは星の形の光を纏っていくらかバウンドし、メタナイトの手に戻った。
「いい子だ。ありがとう」
カービィは、意外に思った。
メタナイトが自分に礼を言ったことなどなかったから。
でも、彼はそれ以上気にしなかった。
彼は知らない。
嘗ての彼と彼女、ひとつになったふたりのことを。
ひとりからふたりに分たれた、今の彼の中には、「彼女」も共にいることを。
―――
解説:彼女とは、「ギャラクシアの乙女」、かつてそれを所有した騎士でありギャラクシアの魂の「一部」である、メタリア姫のことです。