momogenics!🍎🥧

星のカービィ邪道創作(ももメタ専

Not a joke(メタさん)

https://twitter.com/telunet/status/825376807289360385 メタ逆ネタ。

このツイートにインスパイアされたおはなしです。ネタ提供に感謝します。

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始めて人を憎いと思った。
そして、憎しみというのは、こんなにいとも簡単に湧いてくるものなのかと思った。
青空の下、コーヒーを出す露天のカフェで、友人達と、いつしか近くの席にいた者達も交え、たわいも無い話をしていた時だった。
住人のひとりが木の剣を抜き、言った。

 

「この戦艦ハルバードで、プププランドは制圧されるのだ!」
「それ世界一信用してはいけない言葉だから!」
彼らは笑った。
私は懐の剣を瞬間的に手に取り、がたりと立ち上がっていた。
もう少しで、抜きそうになっていた。
「…メタナイト
デデデ大王が下から私を見上げ、呟いた。

場はすぐに凍りついた。
「冗談」を言った2人も竦んで私を見ているが、そんな事など気にもならない。
彼らは知らない。
私の祖先が、どのような思いで国を動かそうとしたのか。
私も、祖先のその時の心情、全てを知る訳では無い。
しかし彼は、私利私欲の為だけに戦艦を動かしたわけではない。

書庫に隠された、彼の手記を読むまでは、私も何も知らなかった。
「あの事件」は半ば、禁忌のように扱われていたが、彼の手記が、綺麗に、丁重に保管されていたのは、きっと私たちへの「教訓」であり、「心得」でもあったのだ。
彼は危機感のない住人達に苛立っていたが、彼なりに救おうともしていた。

「救うため」に、住人を傷つけることを選択せざるを得なかった彼の苦悩。そして決断。
それを俯瞰し、笑いの種にされたこと。一族の末裔として、彼を知るものとして、私は許せなかった。
私は何も言わず、席を降りた。そして無言で立ち去った。それが精一杯の理性だった。

 

「時に直情的である」とは、妹からも、部下のひとりからも、よく言われる。衝動的に彼らを殺めずに済んだのは、ギャラクシアの重みを感じた時の冷たさと、剣を、どうあっても、一族の誇りと魂を受け継ぐ者としての矜持でもあった。

彼らには、あるいは普遍的に、「失敗」など、笑いの種にしかならないのかもしれない。

しかし、どんな事柄であっても、人の為すことには意志と、思考錯誤と苦悩、即ち、生きた証がある。

それは私の祖先が、身をもって示してくれている。
そうでなくても、たとえ私の先祖でなくても、人の人生を、過去を粗末にはしない。

私は確かに、今日というこの日に過去のあらゆることへの、自分なりの向き合い方を見出した。
それが、彼らから「学んだこと」だ。