断片/機械仕掛けの騎士①
その時、思いもよらない事が起こった。
残骸とかしたエリアガーダーが最後の悪あがきとして、巨大な二対のレーザー砲を放ってきたのだ。
予測していなかった二人は左右に散るが、メタナイトの方は回避が間に合わないのが明確であった。
(しまった…かわせない!!)
「兄上!!」
瞬間、横から飛び出してきたメタリアがステラマキナに体当たりをした。
レーザーが彼女に直撃する。
そのお蔭でメタナイトは難を逃れたが、ステラマキナ・ペシェの左腕部が大破し、彼女は戦線から離脱する。
彼女から「大丈夫」との通信を受け、彼は作戦の依然継続を決めた。
彼女であれば、なんとか上手く脱出するだろう。
----------------------
一方、メタリアは自力でコントロールを立て直し、いずれかの海へ不時着水していた。ただし、着水直前でパージしたため、今の彼女は生身である。
偶然なのかどうなのか、そこは敵陣営のまっただ中だった。
それだけでも非常に困難な状況なのに、
目の前には巨大な、鉄の巨人兵がそびえ、彼女を睨みつけている。
「ギガウォルト…!」
もともと陸戦用だったそれは、いつのまにか水上用のものもできていたらしい。
ギャラクシアはステラマキナに装填されたままだ。
彼女の魂の一部であり、「そのもの」であるギャラクシアは、いずれ手元に戻ってくるはず。
だが今はのんびり探せるような状況ではない。
ギガウォルトが咆哮を上げた。
「素手で勝てます…かねっ!」
-------------------------
「ミストレス」
「第三機動部隊が、"ペシェ"のパイロットを確保したそうです」
現在においてのカンパニーの実質的指導者であり、スージーのクローン体である、ベアトリスは直属の部下の報告を聞き、デスクの下で静かに足を組み替えた。
「ご苦労。パイロットは本社に連れて来なさい。丁重にお迎えして。彼女にはカンパニーで重要なお役目を果たしてもらわなくてはならないの。」
「御意」
彼女に報告を終え、下がるその部下は黒に赤いラインのボディを持った、あの忌まわしき、「メタナイトボーグ」であった。