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星のカービィ邪道創作(ももメタ専

ギャラメタ夫婦+親子話 その2

しょっちゅう父上が、ぼくに言っていたことがある。
「いいか、メタリア。何があっても母上を無理やり起こしてはいけない」
「星が2つ3つ、無くなるからな」
その目はいつも、決して冗談を言っているそれではなかった。

母上は寝起きが悪い。
というか、自分の意志で起きる時以外は、極めて機嫌が悪い。
ある時は、巨大なスーパーコンピュータを一閃で破壊し、(今もその爪痕は度々目にする)
ある時はポップスターの衛星を2つ3つ消しとばし、
ある時は山が丸ごと消えたという。
そのような武勇伝?らしきものを聞いているから、それは何があってもしてはいけないことなのだと大抵理解しているつもり。
まあ母上は大抵眠っていて、滅多に目をさますこともないんだけどね。起きていたらその日はラッキーな一日だ。母上に会えるんだから。

母上はいつも父上の寝室の奥にある小部屋で寝てるか、ふらりとどこかへいってしまうか。少なくとも、ぼくと父上以外にはその姿を見せたことがない。
多分ぼくら以外には、メタナイツしか母上がここにいる事を知る者はいない。
誤って起こしてもいけない、って事情もあるんだと思う。

母上の話をする時の父上は、すこし楽しそうだ。
一見物騒な話しかないけど、そんな猟奇的な所も含めて、
父上は母上をとても愛している、っていうのがわかる。
僕も。その理由はまた今度。

さて、昼間に銀河最強決定戦もとい夫婦喧嘩を繰り広げた二人は、この広大な軍事基地のどこかにいた。
今日は流星がきれいなので、お気に入りのバルコニーで星を見ようとして飛んで行ったら、先客がいた。
二人はただ、星を見ている。
何も話そうとはしない。でも、二人はお互いにそばにいて、そこに小さな世界が形成されているみたいだった。

邪魔しちゃいけないんだろうけど、ぼくは父上と母上の側に行きたくなった。父上と母上の間に向かって飛び降り、くるっと空中でまわって着地すると、両手で二人の片手をそれぞれ握って、くっつけようとした。でも二人はそれを頑なに拒んでいるようだ。ピクリとも身体が動かない。

でも、二人とも、ぼくの手をそっと握り返してくれた。
両手にある、父上と母上の手の温もり。それが暖かくて目を閉じ、それからは父上と母上と一緒にいつまでともなく、一緒に星を見ていた。
ぼくはこの日をずっと忘れないと思う。

銀河最強決定戦、夫婦喧嘩も兼ねる/ギャラメタ

むかしのひとは言いました、
メタナイトギャラクティックナイトの夫婦喧嘩はピンクの悪魔も喰わない、と。

まあそれは嘘なんだけど、父上と母上がまた「お互いの譲れないこと」で喧嘩になって、
いつもの通り、「決闘」で決着をつけるという流れになった。
あ、目玉焼きにソースか醤油か、ってそういう話じゃないよ?
すごく難しいこと。ぼくにはまだ、わからない。

銀河の光を封じ込めたと言われる宝剣ギャラクシアを持つ父上と、銀河最強といわれた母上が今いるハルバードの中でやりあったら、
ハルバードが無くなるどころかポップスターそのものが滅びかねないので二人はフェアにやりあえる宇宙に舞台を移す。
たいていは旧ハルトマン社の母艦の廃墟---が舞台となる。
今日はぼくも「立会人」としてついてきた。
ほんとは、父上と母上の、「銀河最強」の戦いぶりを見たかっただけ。

父上と母上は、柱のようにそびえ立つ巨大なマザーコンピューターを横に迎える格好で、
一言も漏らさず対峙している。すでに、戦いは始まっているのだ。
ぼくたちはコンピュータが真正面に見えるちょっとした出っ張りに座り、
横から二人の決闘を見守ることにした。
「ぼくたちはここで見てましょうか。父上も母上も、思い切りやりあえば、お互い納得しそうですし」
ずっと見てるだけでは息が詰まるので、話し相手に水兵帽のわどわどちゃんも連れてくるんだけど、最初はぼくにしがみついて始終震えてたわどわどちゃんも、おなじみになってくるに連れてふつうに父上と母上の戦いを観戦するようになった。

睨み合う父上と母上のそばの機械は、かつてポップスターにもたらされた大きな災厄の残骸でもある。
ぼくの身体ではいくら見上げても届かない、上から下までざっくりと切り割かれた傷。これも、母上がつけたものだ。

息を合わせたように、二人が同時に飛び出す。剣がかち合う。一閃。それを防ぐ金属音。すさまじい音速の切り結び。両者一歩も譲らない。

「ねえ、父上と母上どっちが勝つと思いますか?」
ぼくはわどわどちゃんに耳打ちする。でもわどわどちゃんは何も言わない。どっちもどっち、なんだろう。
「今までだと、23勝18敗で父上のほうが勝ってますね」
でもそれが純粋な勝敗かというと。
「でも父上、傷を癒しながら戦ってますよね?前、父上に聞いたんです。傷を治しながら戦うのはフェアなんですか?って。
そしたらね、父上ったら、『しょっちゅうまともに母上とやりあっていたら、命がいくつあっても足りない』っていうんですよ?」
極めて真顔でそれをいう父上の顔を思い出しながら言っていると笑いがこみ上げてきて、隣りに座るわどわどちゃんもくすくす笑ってる。

決着がつかないことに業を煮やした母上が、真っ白いふわふわした翼をはためかせてびゅううん!と飛ぶ。そしてはるかな上空に仁王立ちになる。来るぞ!

ヒュッ。ドカーン!
ヒュッ。ドカーン!!
ヒュッ。ドカドカドカドカドカーン!!!

キレのいい一閃と共に、無数の光の柱がそびえ立ち、父上を襲う。ぼくらがいる船も威力のあまりグラグラ揺れ始める。父上は時に華麗にかわし、時に防御し、それをやり過ごす。そして今度は父上だ。くるりと回転し、宙を舞いながら母上に切りつけると後ろに回り込み、竜巻のような回転切りをお見舞いする。マッハトルネードだ!ぼくはもう、父上と母上がなんで喧嘩していたかも忘れてしまった。多分、当人たちも忘れているだろう。

決着がついた。ふっとばされた父上が空中でくるくる回って地面に叩きつけられる。今日は母上の勝利みたいだ。
止まらない動悸を抱えながら凄まじい戦いの余韻をかみしめていると、
父上が声をかけてきた。
「メタリア、何をしている。帰るぞ」
父上と母上は何事もなかったかの様に、母上が開けたワームホールに向かって歩き始める。ホールの先には父上の部屋。ぼくたちも慌てて追いかけた。
なお、負けた父上にはこのあとちょっとしたペナルティがある。
母上の翼の、ツボを押してあげるんだって。

(つづく)

ギャラメタ夫婦+親子話 その2

メタ親子話(ももメタナイトでGO?)

<ももメタナイトでGO?>


ぼくは約一年ぶりに、自分の家に帰ってきた。
自分の力だけでポップスターを一周するように、と父上に命じられてからの時以来だ。
その時のぼくは、ソードビームが出せるようになり、おぼつかないながら父上の代名詞と言ってもいい、竜巻斬りやマッハトルネードがようやくできるようになったくらい。
その証として、父上は図鑑を開きながら各々の地方に生えている植物を持ち帰るようにと言われた。中にはかなりデインジャラスな場所にしか生えない固有種もあって、ぼくの力が本当に試されるときなのだと思った。
課題をやり遂げるまで家に帰れないのは寂しかったけど、実は緊張感や不安よりも、大手を振って外の世界を自由に見に行けるという意味だったので、うっかりガッツポーズをしそうになってしまった。
何度も武者修行でポップスターのあらゆる場所を踏破している父上には、ごまかしは通用しない。
ぼくはわくわくする気持ちの反面自分に気合を入れ、慣れ親しんだ、ほぼ軍事施設だけでできている自分の街を出た。
それから、初めての場所で、いろいろな経験をした。楽しいことのほうが多かったけど、課題をなかなかやり遂げられなかったり、ここぞとばかりに寄り道をしたりふと目についた場所が気になって向かってしまい迷子になったりで、戻ってくるまで一年もかかってしまった。
だけど、ぼくには、ちゃんとやり遂げたという自負がある。意気揚々と父上が詰めているであろうハルバードに乗り込み、父上の元へと向かおうとした。
が、最初のブリッジに、なんと父上がいた。

「一年もの間、一体何をしていたんだ」
ぼくが口を開く前に開口一番、父上はぼくに厳しい声を投げかけた。
「お前のことだから、ここぞとばかりに外で遊びまわっていたのだろう」
課題はきちんとこなしたけれど、たしかにそれも事実、なのでぼくには反論の余地が無い。
「まったく」
父上はマントを翻すと身を包み、背を向けて奥へと去ってしまった。
父上の人となりは知っているし、何も言わなくていいけど、せめてぼくの「ただいま」くらいは聞いてほしかったなあ…
すこしがっかりした気持ちで奥へと進むと、声をかけられた。
「メタリア様」
声の方を向くと、骸骨マスクのアックスナイトがいた。
「アックスナイト!ただいまなのです!」
ぼくはおなじみの顔に会えたのが嬉しくなってしまい、彼に思わず飛びついてしまった。
「お帰りなさいませ、メタリア様。よくお一人で最後まで頑張りましたね」
アックスナイトは笑顔で、ぼくの背中を何度もさすってくれた。
幾分彼の言葉で、報われた気持ちになった。でも。ほんとは、父上に・・・
そんな僕の気持ちを見透かしたのか、アックスナイトはぼくの言ってほしそうな言葉をかけてきた。
「メタリア様。メタナイト様はあなた様のお帰りを、心待ちにしておられました」
「…そうなのですか?」
とてもそんな風には見えなかったけど。
「実は、メタリア様がなかなかお戻りになられなかったので、何度か落ち着かないご様子を見せられたことがありました。なので何度か我々が様子を見に行けるよう、進言したのです。ですがメタナイト様は、頑としてそれをお許しになりませんでした。
『この試練を乗り越えられないようでは、私の跡目は継がせられない』と。今思えば、我々が過保護すぎたのかもしれません」
メタナイト様は、メタリア様のお帰りを、最後まで信じて待っておられました。何も言わずとも、メタリア様の帰りを一番お喜びになっておられるのは、メタナイト様なのですよ」
これまでも、自分の気持ちをあまり表現してくれない父上に代わり、度々メタナイツ、特に彼が、父上の本当の思惑や、気持ちを教えてくれたことがあった。ぼくだけではそこまで読み取れないので、彼らのおかげで父上を誤解したり、鬱屈した感情を抱かないで済んでいるので 、とても感謝している。
「メタリア様、寝室でお休みになられますか?」
アックスナイトが聞いてきたので、ぼくは頭を振った。それよりも、今はメイスとか、みんなに会いたい!
「それはまだいいです。ぼくはちょっと、みんなに挨拶をしてくるのです!」
少し元気が出たぼくはダッシュし、艦の外へと飛び立った。


皆に顔見せをしていたら、すっかり夜になってしまった。そこでぼくは肝心なことを思い出した。
「まだ父上に”あれ”を見せていないのです!」
今更急いでも遅いのだけど、ぼくは旅の途中で会得したメタクイックも使って出来る限りダッシュし、父上の居室へと向かった。
荒い息を整え、ノックをし、父上の部屋に入る。父上は、寛いで本を読んでいた。
「父上、証拠の品をお見せしたいのです」

「ああ、あれか。…忘れていたな」
ぼくは父上に、指定されていた植物全てを見せた。
「よろしい」
父上はたった一言。話は済んだ、とばかりに父上はぼくに背を向けた。まあ、よろしい、ということは合格なんだろう。
ぼくは一礼して下がろうとした。背を向けると、そこへ父上の声がかかった。
「メタリア」
「はい」
「私であれば、一月で踏破するのだがな」
「…ごめんなさい、父上」
ぼくは課題の達成が遅くなったことを謝った。やっぱりぼくは、まだまだだなあ…
「あまり、やきもきさせるな」
下げた頭に、意外すぎる言葉が帰ってきた。そういう父上の声はちょっと困ったようで、それでいて、少し、やさしかった。
「はい!」
ぼくは父上のその一言ですっかり疲れも吹き飛んで、元気になってしまった。

初めての一人旅は決して楽なものではなかった。本当にもうだめかな、って思った時も二、三回ほどあった。だけど諦めてしまわなければ案外どうにでもなる、っていうのもわかったし、ぼくはこの旅に出て、ほんとうに良かったと思う。
次はいつになるかわからないけど、またこういう旅に出ることがあって、なかなか帰れないようなら、何度か手紙を送ろうと思った。
ぼくのことをちゃんと心配してくれる人たちがいるっていうのを、知っているから。